演劇ってすごいね

 「クロノス・ジョウンターの伝説」と「スキップ」を読みました。
 今まで基本的には原作を読まないってつもりでいたんだけど、今回クロノスの三作を見て原作を読んでみたくなりました。

 改めて読んでみると原作は割と単純な話の構造でした。年齢こそ若くないけど。ようはボーイ・ミーツ・ガールなわけです。女性の側が男の主人公に惚れる動機がない。ただただ物語りの力で相手に惚れていく。
 そういう単純な構成を時間移動というSF的ネタでみせている部分は大きい。だから人間劇としてはさほど複雑な構成はしていないと思うわけです。

 ところが、演劇にするにあたって脚本家の力なのか女性視点をしっかりと描いている。
 その上で実際に女性が演じることによって、それまで単なる記号的な存在でしかないかった女性がしっかりと意志を持ち、意味を持ってくるのである。
 その結果として、作品全体がしまった中身の濃い作品になっていたと思うのだ。

 そういう意味ではスキップも同じ。
 基本的に女性を描くという意味でうまく描いた原作ではあるけれども、それはやはりどこか男性的な感触が残る。だから、どうしても違和感が残るが、それを女性が演じることによって違和感なく女性の物語に仕上げることができるのだ。

 だからやはり演劇というやり方はとてもおもしろいのだと、そう思いました。