胸を張るべき

 負け犬って単語が大嫌いなんだよね。だってさ、しっかりと働いてしっかりと生きている女性なんじゃないか。それは誇っていいと思うんだよね。
 なのに未だに古い女性観に左右されてる。女性差別に文句を言うのはいいとしても、そのくせ自分自身がその女性って枠組みの中にいたがっている。それまで思い通りに夢の世界を生きていたくせに30代になって結婚とか子作りとか、そういう単語が来ると突然夢見たいな理想の男性を求めたり、お姫様になりたがったり。
 そんなの最初からありえないよ。現実ってのはもっと不条理でもっと矛盾に満ちていて、もっともっと悪意にまみれてる。恋愛なんてその最たるものじゃないか。なのに現実的な恋愛じゃなく、夢見たいな恋愛ばっかり求めてる。そんなことやってれば、そりゃあ負け犬だよな。
 別に男性的な社会の枠組みに入って生きろ、とは言わない。言ったところでやり難い社会の葉事実だしね。でも、それでもって気概は必要でしょ。
 女性であるってことに囚われすぎてもダメだし、逆に男性的になるだけでも意味がない。だからどちらでもないまったく新しい価値観を抱くべきだとオレは思う。
 難しい?その通り、それが選んだ道なんだから。今更そんなことを言ってもそれこそただの負け犬だね。
 それに本当に言えば、そんなの難しくなんてない。どっちにしたって大変なのは事実なんだから、後はもう自分の信じる生き方を貫くしかないんだ。誰がどう言っても自分だからって言い切る覚悟。それは必要だよね。その上で負け犬になるんだったら、それはもうきっと負け犬なんかじゃない。立派な個性だよ。
 だからせめて自分を負け犬って言い方で慰めるのは止めた方がいい。自分を慰めているだけじゃあ、余計に惨めなだけだから。自分で自分の尊厳を捨ててるようなもんだ。言い訳をしてるのに等しい。
 人が負け犬って言ってもいい。でもせめて自分自身には負け犬って言わないで欲しい。自分がそうではないと信じる限り、決して負けてなどいないのだから。